夏に「冬掛け布団(羽毛布団)」で寝るのは本当に快適?
~温度帯と布団の正しい選び方~
最近、テレビやネットで「エアコンを26℃に設定して、冬掛け布団で寝るのが快眠に良い」という情報を目にすることが増えました。
一見、「涼しい部屋で暖かく眠る」というのは心地よさそうに聞こえます。
しかし、寝具の本来の設計や使うべき温度帯を理解せずに真似をすると、快適さどころか、健康面で逆効果になることがあります。
※冬掛け布団(羽毛布団)は、一般的に中綿1.1kg~1.3kgを指すと考えております。
1. 冬掛け布団の本来の役割
冬掛け布団は、室温10℃前後、またはそれ以下の寒い環境で体を暖かく保つために作られています。
中わたの量は多く、保温性も高いため、寒さで体温が奪われる冬にこそ真価を発揮します。
つまり、夏の高い室温や湿度の中で使うと、必要以上に熱がこもり、寝苦しさや発汗による不快感を招きやすいのです。
2. 「26℃+冬掛け布団」が広まった背景
メディアで紹介されるこの方法は、冷房で部屋をしっかり冷やして、その上で暖かい布団に包まれる心地よさを狙ったものです。
確かに短時間の昼寝などには向く場合もありますが、夜通し続けると暑すぎたり肌乾燥のリスクが高まります。
3. 設定温度と室温は同じではない
「じゃあ、エアコンを20℃に下げれば冬掛け布団でちょうどいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、エアコンの設定温度はあくまで目標値です。
部屋全体の温度は気流や外気温、建物の断熱性能によって変動します。
また、冷気は床付近に溜まりやすく、ベッドの高さと布団の中では体感温度が違います。
つまり、設定温度を20℃にしても、実際には20℃を下回ることはほとんどありません。
※ふとんの新保としては冬掛け布団は10度前後の寝室環境に適している布団の事をいいます。
4. 「夏に冬掛け布団が快適」という多くのケース
実際にお客様とお話ししていて気づくのは、「夏でも冬掛け布団で快適」と言われる方の布団が、本当は**合い掛け布団(春・秋用)**であることが多いということです。
見た目や呼び方は「冬布団」でも、中わた量が軽めで保温力が控えめなため、夏場の冷房環境にも合っている場合があります。
実際その冬掛け布団では冬場寒くて「毛布などを何枚も掛けている」「電気毛布を使用している」など冬1枚で寝れていない場合がございます。
逆に、本格的な真冬用布団を夏に使うのは、体への負担が大きいのです。
5. 夏に適した布団選び
快眠のカギは、部屋の温度・湿度と寝具の保温力をバランスよく合わせることです。
目安としては、
室温 25℃以上 → 肌掛け布団(薄手)やガーゼケット、タオルケット
室温 15〜25℃ → 合い掛け布団(春・秋用)
室温 5〜15℃ → 冬掛け布団(真冬用)
また、夏は湿度が高いため、通気性や吸湿性の高い素材(綿、麻、羊毛、テンセルなど)を選ぶと、汗によるベタつきを防ぎやすくなります。
6. なぜ正しい選び方が大切なのか
寝ている間に汗をかきすぎると、布団の中の湿度が上がり、皮膚温も高くなります。
これが寝苦しさや夜中の目覚めの原因に。
反対に、冷えすぎると血流が悪くなり、筋肉がこわばって肩こりや腰痛の原因になることもあります。
「布団は一年中同じでいい」ではなく、季節や部屋の環境に合わせて寝具を切り替えることが、快眠と健康の秘訣です。
まとめ
「夏に冬掛け布団で快適」という情報は、一部の条件下では成り立ちますが、
多くの場合は布団本来の用途と温度帯から外れています。
実際、お客様のお話を伺っていると…
冬掛け布団と思っていたら、実際は合い掛け布団だった
→ 見た目は冬布団でも、中わたの量が少なく、保温力が春・秋用レベルのもの。真冬に使うと寒くて1枚では寝られないほど保温力が少ない冬掛け布団
→ 夏にはちょうど良くても、本当の冬用とは呼べない場合。購入当初はしっかり暖かかったが、使用や洗濯を繰り返すうちに保温力が低下している
→ 中わたのへたりや素材劣化により、設計時の性能を発揮できなくなっているケース。
こうした理由から、夏に「冬掛け布団がちょうどいい」と感じる場合、
その布団は本来の冬用性能を持っていないか、すでに性能が落ちている可能性があります。
本当に快適な睡眠を得るためには、室温や湿度、自分の体質に合わせて寝具を選びましょう。
そして「冬掛け布団」と「合い掛け布団」「肌掛け布団」の違いを知ることが、快眠への第一歩です。
ちなみに羽毛布団の場合の中綿の入れ目は以下の通りです!
冬掛け布団 :中綿 1.1~1.3kg
合い掛け布団 :中綿 0.7~0.9kg
夏(肌)掛け布団:中綿:0.25~0.5kg
また、先ほども記載しましたが、夏場は湿度が高くなりますので、通気性や吸湿性の高い素材を選ぶと、汗のベタつきを防ぎサラッとしてくれます。