画像

羽毛ふとんを長く気持ちよく使うために

🩶序章:羽毛ふとんは「使い方」で寿命が変わる

― 買った後のひと工夫で変わる快眠力 ―

寒くなる季節、押し入れから羽毛布団を出して使い始める方も多いと思います。
でも、実は「羽毛布団は買ったあと」がとても大切。
ちょっとしたお手入れや扱い方で、暖かさも寿命も大きく変わるんです。
今回は、専門店の視点から“今日からできる羽毛ふとんのお手入れ術”をお伝えします。


🧺1.押し入れから出したらまずは「風通し」

長期間しまっていた羽毛布団は、内部に湿気を含んでいます。
いきなり使わず、まずは半日ほど「室内の陰干し」で湿気を飛ばしましょう。
※直射日光は生地を傷めます。
室内で椅子2脚を使い、羽毛布団をまたがせるように干すと効果的です。

布団干し(室内)


🩶2.カバーのお手入れが布団の清潔を守る

「羽毛ふとんのカバーなんて、汚れたら洗えばいい」と思われがちですが、
実はカバーこそが羽毛ふとんを守る“バリア”の役割をしています。

カバーをこまめに洗うことで、汗・皮脂・ハウスダストが中の羽毛に移るのを防ぎます。
目安は2~3週間に1回洗濯が理想です。
特に寝汗をかきやすい季節や体調を崩したときは、清潔さを意識して早めに交換しましょう。

💡カバーの洗濯ポイント

  • 洗濯時は裏返してネットに入れる

  • 柔軟剤は控えめに(繊維が滑りすぎて羽毛ふとんがズレやすくなるため)

  • 乾燥機は低温で短時間に


😴3.風邪や寝汗のあとにすべきこと

風邪をひいた後や、寝汗をたっぷりかいた夜のあとは、
「そのまま使い続ける」と臭いや湿気がこもり、羽毛が固まってしまうことがあります。

そんな時は、カバーを洗い、ふとんを陰干しで風を通すだけでも違います。
天日干しではなく、日陰で風通しの良い場所に2〜3時間。
布団乾燥機を軽く使うのも効果的です(高温・長時間はNG)。

湿気を抜くだけで羽毛がふっくらと戻り、独特の臭いも軽減されます。

※天日干しが悪いわけではありません。「外干し」は控えましょう!日光消毒はとても良い効果があります。ですが、「生地が切れる可能性」「外の方が室内に比べ花粉などで汚れやすい」などあるため、「室内干し」がおすすめ!その場合日光に当たる場所であれば1時間程度が理想です!(生地の湿気を取り除く時間です)


🌿4.臭いが気になるときの対処法

羽毛ふとんの“独特なにおい”は、汗や湿気が残っているサイン。
新品でも、羽毛の天然油脂が残っているときに一時的に感じることがあります。

対処法はシンプルです:

  • 風通しの良い場所で陰干し

  • 乾燥機で短時間の低温乾燥(30~40℃)

  • 晴れた日なら1時間ほど風にあてる

香りを消そうと芳香剤を使うのはNG。湿気と反応して逆にニオイが強くなることがあります。

ただし、ダックダウンの羽毛布団は注意が必要です。
ダックは雑食性のため、羽毛に独特の脂肪分が残りやすく、一度ついた臭いは洗っても完全には取れないことがあります。
この点はグースダウンとの大きな違いです。


🪶5.グースとダック、どちらが長持ち?

ダックとグースの違い.jpg

一般的に、グースダウンの寿命は10年ほど。しかし、使い方次第では15年、20年と使える方もいらっしゃいます。
ダウンボールが大きく、ダウン全体で暖かい空気をたくさん含むため弾力が続きやすいのが特徴です。

一方、ダックダウンの寿命は5年ほど
ダウンボール1粒が小さく、ダウンの毛先だけが暖かい空気を含みますが、使うほどに毛先が折れ空気を含みにくくなるため、
見た目がふっくらしていても、実際には「暖かさが抜けやすい」状態になります。

つまり、ボリューム=暖かさではないのです。
大切なのは「羽毛1粒の質(暖かい空気をたくだん含むことのできるダウン)」。
グースは軽くても暖かい空気をしっかり抱えこみ、
ダックはふくらみがあっても空気をためにくい構造なのです。

同じダウン93%でも、「グース」と「ダック」では空気を抱える力が違います。
見た目より“質”が快眠のカギです。

※「寿命=暖かさのピークを維持できる目安」です。
しっかりお手入れをすればそれ以上の年数も十分使えます。
その寿命を延ばすには、「日常の手入れを小まめにできるかどうか」。


💡6.長持ちさせるための「日常のコツ」

毎日できる簡単なお手入れとしては、

  • 毎朝、布団を畳まず少し広げて湿気を逃す

  • カバーを清潔に保つ(約2週間に一度洗濯する)

  • 季節の変わり目にはクリーニングよりもまず「風通し」

この3つを習慣にするだけでも、羽毛がふっくらと蘇り、長く気持ちよく使えます。
また、購入時に「メンテナンス(打ち直し・丸洗い)」ができるお店を選んでおくのも安心です。


💤まとめ

羽毛ふとんは、買ったときの品質よりも、その後の扱い方で快適さが決まります。
グースでもダックでも、“呼吸する寝具”であることに変わりはありません。
毎日の少しの手間が、何年も快適に使い続けられる一番の秘訣です。


🧺補足:お手入れ次第で10年後もふっくら!

当店のお客様の中には、「3日に1回掛け布団カバーを洗濯する」という方がいらっしゃいます。
スタッフ全員が驚いたのですが、そのお客様の羽毛布団(10年以上前にご購入・グースダウン)は、今もふっくら感がほとんど変わっていませんでした。

詳しく伺うと、シーツやまくらカバーも毎日洗濯されているとのこと。
つまり、羽毛布団を常に清潔に保ち、羽毛が呼吸できる環境を維持していたのです。
この丁寧なお手入れこそ、長持ちの最大の秘訣。

そして、正直なところ――
「お客様全員がそこまで丁寧に洗濯されると、布団屋としては買い替え需要がなくなってしまうかもしれません(笑)」

それでも、長く気持ちよく使っていただけることが一番の喜び
清潔さと日々の少しの工夫で、10年後の羽毛布団もきっとふっくらしています。

記事一覧へ

NEW ARTICLE

新着記事