【1. 綿の特徴・長所・短所】
私たちの身近にある「綿(コットン)」は、天然繊維の中でもっとも親しまれている素材のひとつです。
衣類やタオル、寝具など、肌に触れる製品の多くに使われています。
その理由は、吸湿性の高さ・肌ざわりのやさしさ・静電気の起きにくさなど、日常の快適さを支える性質にあります。
一方で、綿は天然素材ゆえに湿気を吸いやすく、重くなりやすいという弱点もあります。
また、ポリエステルなどの化学繊維と比べると弾力の戻りがゆっくりで、打ち直しのメンテナンスが必要です。
ですが、その「手をかけて長く使う」性質こそ、綿布団の魅力でもあります。
布団に使う綿わたは、「敷き布団用」と「掛け布団用」で求められる性質が異なります。
敷き布団には「コシ」や「弾力」、掛け布団には「軽さ」と「柔らかさ」。
同じ“綿”でも、種類と配合を変えることで、寝心地は大きく変わります。
【2. 世界の綿花の種類と使われ方】
綿花には、世界でおよそ100種以上の品種がありますが、大きくは次の4系統に分けられます。
この中でも、日本の布団づくりに欠かせないのがインド綿とメキシコ綿です。
インド綿は、繊維がやや短く「しっかりしたコシ」があり、敷き布団に最適。
一方、メキシコ綿は繊維が長く、ふんわり軽く、掛け布団に向いています。
「ギザ」や「海島綿」は、ツヤとしなやかさが特徴ですが、布団の中綿には柔らかすぎて不向き。
代わりに、布団の側生地やカバー、上質なシーツとして使われています。
つまり──体を支えるのはインド綿、包み込むのはメキシコ綿という棲み分けが理にかなっているのです。
【3. インド綿の深い世界──ファイン・チョイス・シードコットン・アッサム】
同じ「インド綿」といっても、品質にはいくつかの段階があります。
当店では、お客様にわかりやすく「ファイン」「チョイス」「シードコットン」「アッサム」の4種類でご案内しています。
当店で使用しているのは「シードコットン」。
綿花から葉ゴミや細かな繊維を取り除く**オープナー工程(OP)を経ており、通気性が良く、打ち直しにも強いのが特徴です。
さらに、わたの配合として綿80%・ポリエステル20%**を採用。
天然の弾力を保ちながら、湿気を逃しやすく、型くずれを防ぎます。
この「少しだけポリエステルを混ぜる」技術は、昔ながらの布団づくりを現代の環境に合わせた知恵です。
綿100%の重さや湿気のこもりを改善しつつ、ふっくら感を長持ちさせる工夫なのです。
【4. 当店がおすすめする組み合わせ】
布団づくりは「素材選びの組み合わせ」で決まります。
当店が長年おすすめしているのは、次のバランスです。
敷き布団:シードコットン(インド綿)+ポリエステル20%
→ コシがあり、体をしっかり支える。打ち直しにも強く、長く使える。掛け布団:メキシコ綿100%またはアッサム綿混
→ 軽く、身体にしっとりとなじむ。空気を含むので保温力が高い。
この組み合わせは、見た目ではわかりにくい“寝心地の質”を決める要です。
ふとんは「中綿が命」と言われるように、同じ側生地でも中綿が違えば寝心地はまったく変わります。
手づくりの布団は、まさに“素材と仕立て”の両輪で成り立っています。
【5. 綿布団には、メンテナンスという育て方がある】
天然綿の良さは「使いながら育てる」ことにあります。
綿は呼吸する繊維です。
湿気を吸って、晴れた日に放つ──そんなサイクルを繰り返すことで、ふっくら感が保たれます。
ただし、長年使うと中綿が圧縮され、空気層が減ってしまいます。
このとき必要なのが「打ち直し」。
中綿をほぐして新しい側生地に仕立て直すことで、また新品のような弾力を取り戻せます。
これは、量販店や通販の「使い捨て布団」との大きな違いです。
天然綿の布団は、**10年・20年と使い続けられる“育つ寝具”**なのです。
【6. まとめ】
どんな素材にも一長一短はあります。
ポリエステルは軽くて乾きやすいけれど、吸湿性が弱い。
綿は重くなりやすいけれど、肌に優しく、自然な温もりがあります。
大切なのは「素材の個性を理解し、自分の暮らしに合った形で選ぶ」こと。
そして、手をかけながら長く付き合っていくこと。
当店では、インドの「シードコットン」とメキシコ綿を中心に、
それぞれの綿の個性を生かした**“寝心地の設計”**を行っています。
どの布団にも、ひと針ひと針に職人の手の温もりがあります。
🪶職人のことば(専門店より)
天然の綿が持つ“ふっくらとした息づかい”を、日々の暮らしの中で感じてほしい。
そんな思いで、一枚一枚の布団を仕立てています。
