連載タイトル: 羽毛布団より暖かいってホント!?|広告の言葉だけでは分からないこと
第2回:買ったときは暖かい!|でも、5年後も同じ保温力?
「羽毛布団より暖かい!」
そんな広告を見て、ポリエステル素材の掛け布団が気になったことはありませんか?
第1回では、羽毛布団とポリエステル掛け布団の暖かさについて考えました。
製品によっては、ポリエステル掛け布団でも十分な暖かさを感じられます。
しかし、ここでもうひとつ考えておきたいことがあります。
買ったときに暖かい布団は、5年後も同じように暖かいのでしょうか?
掛け布団は、買ったその日だけ使うものではありません。毎晩使い、体から出る湿気を受け、押されたり、たたまれたりしながら、少しずつ変化していきます。
今回は、羽毛布団とポリエステル掛け布団の「耐久性」と「保温力の変化」について考えてみましょう。
1.布団の暖かさは、使い続けると変わる
掛け布団が暖かいのは、単に中に暖かい素材が入っているからではありません。
大切なのは、中に空気を含み、その空気を逃がしにくい状態を保てるかどうかです。
羽毛布団もポリエステル掛け布団も、中わたがふっくらと広がり、適切に空気を含むことで保温力を発揮します。
ところが、長く使ううちに中わたが傷んだり、へたったりすると、購入したときとは状態が変わってきます。
例えば、こんな変化はありませんか?
買ったときより、布団が薄くなった気がする
以前より暖かく感じなくなった
中わたが偏り、一部だけ薄くなっている
体に掛けたとき、以前より隙間ができるようになった
もちろん、暖かさが変わる原因は中わただけではありません。生地の状態や布団の掛け方、寝室の温度、体調なども関係します。
それでも、中わたの状態が保温力を左右する大切な要素であることは間違いありません。
では、羽毛とポリエステルでは、使い続けることでどのような違いが生まれるのでしょうか。
2.羽毛布団は、羽毛の品質によっても違いがある
羽毛布団の大きな特徴は、羽毛が持つ立体的な構造です。
羽毛の中でも、タンポポの綿毛のように枝状の部分が広がった「ダウン」は、空気を含みやすく、軽さと保温性を両立しています。
さらに、羽毛布団に使われる羽毛には、主に「ダック」と「グース」があります。
ダックはアヒル、グースはガチョウの羽毛です。一般的に、グースのダウンはダックより大きく育ちやすく、ふくらみを出しやすい傾向があります。
また、ダックよりグースの方が、羽毛の構造や復元性の面で耐久性に優れる傾向があります。
ただし、グースなら必ず高品質で、ダックなら暖かくないというわけではありません。羽毛の品質や充填量、生地、キルト構造などによっても、仕上がりは変わります。
グースとダックの違いや、羽毛布団の選び方について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
→ ふとんの新保|羽毛布団の選び方
では、羽毛布団は長く使っても、ずっと暖かいのでしょうか。
良質な羽毛は、押されて小さくなっても、適切な環境でふくらみを回復する性質があります。そのため、羽毛の品質や布団の状態、お手入れ方法などの条件が整っていれば、長期間にわたって使い続けられる製品もあります。
一方、長年の使用によって羽毛が傷んだり、汚れによって羽毛同士がまとまったりすると、空気を含む力が低下することがあります。
つまり、羽毛布団も永久に同じ暖かさを保てるわけではありませんが、羽毛の品質や状態によっては、長く使い続けられる可能性があるのです。
3.ポリエステル掛け布団は、なぜへたることがある?
ポリエステル掛け布団も、素材や製品の構造によって特徴が異なります。
ポリエステルの中わたには、細い繊維を集めたものや、繊維に工夫を加えて、かさ高性や弾力性を持たせたものなど、さまざまな種類があります。
こうした繊維の間に空気を含ませることで、掛け布団の暖かさを生み出しています。
一方で、使用を続けるうちに、繊維が圧縮されたり、絡み合ったりして、かさ高性が低下することがあります。
中わたが薄くなれば、含むことのできる空気の量も変わり、購入時と同じ保温力を維持できなくなる場合があります。
ただし、ポリエステルだから必ず早くへたるわけではありません。
繊維の種類や加工、わたの量、布団の構造によって耐久性は異なります。耐久性に配慮して作られた製品もあります。
羽毛布団とポリエステル掛け布団のどちらも、長く使えば何らかの変化が起こり得ます。
違いを考えるときには、素材の名前だけでなく、中わたがどのような構造で、使い続けたときにどのような状態になりやすいのかに目を向けることが大切です。
4.5年後の暖かさは、どのくらい変わる?
ここで気になるのが、実際に何年くらい使えるのかということです。
布団の寿命については、素材ごとの目安が紹介されていることがあります。しかし、寿命の目安と、保温力がどれだけ低下するかは別の話です。
羽毛布団とポリエステル掛け布団を同じ条件で5年間使用し、保温力が何%低下するのか。その違いを一律に示せる、一般的な比較データは確認できません。
そのため、「ポリエステル布団は5年で保温力が半分になる」「羽毛布団なら10年たっても暖かさは変わらない」といった数字や断定はできません。
実際には、製品の品質、使用頻度、寝室の環境、お手入れ方法などによって、状態の変化は異なります。
ただ、長く使うことを考えるなら、購入時の暖かさだけでなく、次の点も確認しておきたいところです。
① 中わたの品質と構造
羽毛布団なら、ダウン率だけでなく、羽毛の種類や品質、充填量、生地、キルト構造なども確認しましょう。
ポリエステル掛け布団なら、中わたの素材や構造、かさ高性、製品の特徴を確認することが大切です。
② 自分の使用環境に合っているか
暖かさが十分でなかったり、反対に暑すぎたりすると、快適に使い続けることが難しくなります。
寝室の温度や湿度、使用する季節、毛布などとの組み合わせも考えましょう。
③ 汗や皮脂による汚れにも注意する
掛け布団の傷みは、中わたのへたりだけではありません。
意外と見落としやすいのが、衿元の汚れです。
首まわりが布団に触れる使い方をしていると、汗や皮脂が少しずつ生地に付着します。寝ている間の汗や湿気も影響し、時間の経過とともに黄ばみが目立つようになることがあります。
この汚れを長い間放置すると、生地が傷み、摩擦などをきっかけに裂けたり、破れたりすることがあります。
羽毛布団の場合、側生地が傷むと、中の羽毛が吹き出してしまうこともあります。
つまり、中わたにまだふくらみがあっても、生地が傷めば布団全体として使い続けることが難しくなる場合があるのです。
衿元の汚れを防ぐためにも、カバーを使用し、カバーをこまめに洗濯しましょう。カバーを使っていても汚れを完全に防げるわけではないため、布団本体の状態も時々確認しておくと安心です。
④ お手入れの方法を確認する
素材や製品によって、適したお手入れ方法は異なります。
洗濯できる製品もあれば、家庭での洗濯が適さない製品もあります。長く使うつもりなら、購入前にお手入れ方法を確認しておきましょう。
5.「洗える布団」なら、長持ちするのでしょうか?
ここで、もうひとつ気になることがあります。
最近は、「洗える掛け布団」という表示を見かける機会も増えました。
汚れたら洗える。清潔に使える。お手入れが簡単そう。
確かに、洗えることは便利な特徴のひとつです。
しかし、洗えることと、洗っても傷みにくいことは、同じではありません。
洗濯できる製品であっても、洗い方や乾燥方法、使用頻度によっては、中わたの偏りやかさ高性の低下などが起こる可能性があります。
反対に、洗えない布団が必ず不衛生になるわけでもありません。カバーの使用や日頃のお手入れ、製品に合ったメンテナンスによって、清潔に使い続けることはできます。
では、「洗える掛け布団」は、どこまで便利なのでしょうか。
洗濯すると中わたは傷まないのか。家庭で洗う場合と、専門的なお手入れでは何が違うのか。
次回は、こうした疑問について考えてみます。
まとめ|買ったときの暖かさだけで決めない
羽毛布団とポリエステル掛け布団は、どちらも製品によって特徴が異なります。
羽毛布団は、良質な羽毛のふくらみを生かして長く使える可能性があります。一方、ポリエステル掛け布団も、素材や構造によって耐久性は変わります。
そして、布団の寿命を左右するのは、中わただけではありません。汗や皮脂による汚れ、側生地の傷み、お手入れの方法も関係します。
大切なのは、買ったときの暖かさだけでなく、何年使うことを想定するのか、どのようなお手入れが必要なのかまで考えて選ぶことです。
価格や広告の言葉だけでは、長く使ったときの状態までは分かりません。
掛け布団を選ぶ際は、素材の特徴とお手入れ方法の両方に目を向けてみてください。
ふとんの新保では、実際に寝心地を確かめながら、寝具選びやお手入れについてご相談いただけます。ご自身の使い方に合う掛け布団をお探しの方は、店舗案内をご覧ください。
次回は、「洗える掛け布団」は本当に便利なのか、洗濯による傷みについて考えていきます。
